伊藤計劃『ハーモニー』2014年、ハヤカワ文庫JA

21世紀後半、<大災禍>と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築き上げます。医療分子の発達によりこの世界から病気というものの大半がほぼ消し去られ、見せかけの優しさや倫理が蔓延する世界。思いやりと慈しみでじわじわと人を絞め殺す社会…「この身体は私のもの。」そんな社会を憎んだ少女三人は、餓死することによって世界に反抗しようとします。しかし、13年経った今も死にきれなかった少女、霧慧トァンは生きていました。そして、世界を襲う大混乱に、かつて死んだはずの少女の姿を見出します。

文章の書き方が特徴的なSF小説ですが、徐々に慣れていき、癖になっていきます。もしかしたらありえるかもしれない、そんな未来を描いた面白い世界観の物語です。

6組 H・K