生体と死体が切り分けられない形で、一体となって立っている木ーー大きく高い杉の木の上から、想像ラジオは放送される。それは、いつでも、どこでも、どんな声にも聴こえるラジオ。必要なのは、あなたの想像力だけ。
2011年3月11日午後2時46分、2万人近くの命を奪った東日本大震災。その時各地には、生者の声を聴きたい死者と、死者の声を聴きたい生者がいた。
木の上に引っかかり、記憶を失ったDJアーク。愛する人を失い、ボランティアに参加するS氏。生者と死者それぞれが必死にお互いの声を聴こうとしていた。想像ラジオを通じて。
東日本大震災で、亡くなった人。直接被害を受けた人。大切な人を失った人。遠くで悲しんでいた人。色んな人がいます。
当事者でなくても、悲しんでいいのか。亡くなった人の声を、聴こうとしていいのか。
あの時、そんなことを考えた人は少なくないと思います。そしてその答えが、この本にあります。忘れることの恐ろしさや、被災した方に対する考え方、接し方を改めて考えさせられる物語なので、自分の考えや経験をふまえてぜひ読んでみてください。
5組 R ・F
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